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編集後期(9月)

2024.10.09

 帝国の歴史を忘却しないためにも、”悼み”続けることが求められるが、大手メディアの取り扱いは8月の”集中期間”を経て一旦終息する。そして迎える9月でもあるので、前月に続き”悼む”取材に多くの時間を費した。

 映画『福田村事件』によって、関東大震災に発露した差別と虐殺は徐々に周知されるようになってきたが、第二、第三の福田村事件は実は山ほどある。そのうちの一つ、 検見川事件(千葉県花見川区)の虐殺現場と追悼式を報告した。これは取材者自身が東北出身でかつ沖縄で研究を続けていた経緯も手伝って思い入れが強い(被虐殺者は秋田・沖縄出身)。解明できていない点も多いことから取材を継続していく。

 そして、長生炭鉱である。ついに 坑道の入り口が発見された。その歴史的瞬間に立ち会うことができた。今後、遺骨調査に進んでいく。本来取り組むべき厚労省は 見ないふりをしているが、骨のかけらが一つでも出れば、動かざるを得ない。10月には韓国から遺族を呼び、坑道の入り口前で追悼式が開かれる。市民が率先して国が負うべき責任を全うしようとしている。

 国と同様、責任を果たさないのは、やはり与党系自治体である。石垣市は自治基本条例で定めた住民投票の実施義務を怠り、自衛隊基地に関する住民投票を行っていない。署名を集めてきた市民らは、住民投票ができる地位の確認を求めて最高裁に対し上告を受理するよう 申し入れを行った。(残念ながら10月に入り上告は棄却され敗訴が決まった)。最高裁の人事権も内閣に握られ、司法が根腐れを起こしている。権力分立どころの話ではない。寄る辺なき昨今、第四の権力も、”マス”メディアは無論あてにならない。(工藤)